finders keepers

バイクが楽しい。写真が楽しい。釣りが楽しい。

MOTO GUZZI V7 II Stone

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新しい相棒がようやくやってきた。モトグッツィV7のニューモデル、V7 II Stone。選んだ理由は色々あるけれど、きっかけは「買おうと思った色のW800がなかった」ということだったりする。ちょうど2016年モデルへの切り替え時期でメーカーに在庫がなく、店頭の一台は売れてしまったばかり。気持ちが萎えたところに現れたのが、モトグッツィというメーカーだった。ほとんど視野に入れていなかったけれど、調べれば調べるほどに自分の好みに見えて・・・とりあえず住民票と手付金を用意した。結局イタリア車に縁があるわけだ。

 

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雨模様を気にせず走りだしてみると、なんだか空も晴れてきた。じっくり慣らし運転をしたいので、高速は使わず下道を使う。試乗もせずに買ってしまったが・・・このバイク、期待以上に面白い。縦置きVツインの鼓動はハーレー以上に豊かだし、フィーリングはまさにプロペラ機のイメージ。ヒラヒラ軽快で、ワインディングもすこぶる楽しい。零戦のパイロットにでもなったつもりで、山々を駆け抜けてゆくのだ。

 

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たっぷり走って500km。早速オイルを交換しなければなるまい。

回転数をあげて見える世界はまだお預けだけど、歓びと発見にあふれた一日だった。お目当てのW800があったらこのバイクに出会えていなかったかと思うと、なんだか感慨深い。単なる些細な偶然も、やがて運命になるのだ。

 

serow.hatenablog.com

 

悩まないコツ

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悩むから悩みになるのであって、悩まなければ悩みにはならない。

 ・・・なんていう言葉は悩んでいる人には伝わらないし、何の助けにもならないものだ。空白がうまれれば心は勝手に不安を呼び戻し、妄想を繰り返して自らを暗い迷路に追い込んでゆく。頭は考えることをやめてくれないが、そんな反芻が問題を解決に導いてくれたことは、自分にはない。

 

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原始仏教、いわゆるお釈迦様の教えは、そんな人間の妄想に明快な対処方法を示している。
それは「感じる」こと。身体感覚から得られる刺激に注意を向けていると、余計な妄想は影を潜めるというのだ。

 

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自分がバイクにとりつかれているのも、実はこの実践なのかもしれない。エンジン音と排気音を聴き、感動的な景色に出会い、風の匂いを嗅ぎながら、トラクションを全身で感じて駆け抜ける。バイクを降りてタバコに火をつければ、五感のフル活用が完成する。一日のツーリングはもちろん、30分の走行でも心は前よりスッキリしている。

そう考えると、体育会系で育った人が明朗でタフであるのにも納得がいく。彼らはストレスを解消する術を身につけているし、そもそも余計な妄想が少ないはずだ。「悩みがなさそうでいいね」なんていう暇があったら、身体を動かせばいい。

 

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もしくはバイクに乗ること。
現代の労働はどんどん身体を動かさなくなっているのだから、 人類の精神はきっと病んでゆく。人類を救うのは、身体感覚をフルに目覚めさせる「オートバイ」だ。

 

セロー250で夏の林道ツーリング

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本日の相棒はセロー。1年と少しで12,000km程走り、エンジンの具合もぐっと良くなっている気がする。パワービームを付けた以外は基本ノーマルだが、以前は変えたいと思っていたマフラーも今は「これでいい」と思うようになった。走るほどにバランスの良さに感心し、懐の深さに唸る。へんに弄らずに走ってきて良かった。

セローで良く言われるのは高速巡航がキツいという話だが、敢えて速度を上げず80km/hくらいで走れば個人的には楽しい。100km/hくらいの速度は少ししんどくなる領域で、目的地まで「我慢して駆け抜けてしまおう」という乗り方になる。仮に100kmの行程だとしたら、20km/hの速度差がもたらすのは15分程度のもの。60分辛抱するよりも75分楽しんだほうがいいじゃないか、と思う次第である。

 

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関越城ヶ島で降り、毛呂山町あたりから林道に入った。少しずつ標高が上がっていくのと道が木陰に包まれることで、温度も一気に快適になっていく。顔振峠、正丸峠、刈場坂峠など気の向くままに峠を巡ることができて、この界隈はなかなか楽しい。林道といっても舗装されているので色々なバイクで走れるのだが、落ち葉や落石、道幅などを考えると、やはりセローがピッタリだと思う。R1では神経を使う必要があるし、気持ちいい速度は出せない場所だ。

 

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待ち合わせまで時間があったので、御岳山林道にチャレンジ。道は一部ヒヤッとするところもあったけれど、全般的に走りやすくて林道初心者にももってこいの道だ。15km程度の道を40-50分かけて抜けて、出会ったのはYAMAHA1台と鹿1匹。石や土のうえを走るだけでワクワクするのは、一体どういうわけだろう。

 

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林道を抜けて37号線を北上、小鹿野にて本日のチェックポイント「安田屋」へ。ここのわらじカツはうまい。空いている時間が限られているので、昼か夜に小鹿野に到着できるようなツーリング計画が必要になるのだが、奥多摩方面と絡めたり山梨から雁坂トンネル経由でのアクセスなど、選択肢はさまざま。大満喫のツーリングであった。セローはホント、楽しいなあ。

 

さよならフォーティエイト

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新しい服を一着買うときには、古い服を一着すてる。そういうシンプルな原則の大切さぐらいはわかる年齢になってきたから、XL1200Xとお別れすることにした。免許を取るきっかけになったバイクだし、色々といじくって好みにしてきたし、沢山の人と出会わせてくれたバイクだ。嫌いになったわけでもなくて名残惜しいところはあるけれど、あまり走らないまま倉庫で眠らせるのは残酷なこと。誰かを乗せて、駆けまわってほしいと思う。
 

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ちなみにバイクに乗ってみようと思い始めた頃、自分の目にはほとんどのバイクの違いがわからなかった。上のような一覧は押しなべて「バイク」に見えただけだ。敢えて言うならレースっぽいSSが「峠で死ぬバイクだな。怖い怖い」という印象で、オフ車は「ムシみたいでキモい」だったと思う。(そういう自分を思い返すなら、バイクに乗らない人にR1やセローの写真を見せたところで反応はしれている。自粛しよう。)
 

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最初のバイクとしてSR400あたりを薦められて、すっかりそれを買うつもりでいたところに飛び込んできたのがフォーティエイト。これは「格好いい」と感じた。思うに、バイクに興味のない人の「オートバイ像」の延長線上にある美が、このバイクにはあるのだと思う。スマートなタンクや低いシルエット、ぴょんと立っていないミラー。そして「ハーレー」に思い浮かべるイメージと違うのも良かった。バイク乗りという裾野を広げるとき、素人目に美しく感じさせるデザインは、きっと大切なことだ。
 

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ところでハーレーを新車で買うと、もれなくショップを中心としたコミュニティに誘われる。臆せずに飛び込んでみれば、どんどんと仲間が広がっていくのが面白かった。傍目で見ればゾロゾロと迷惑だろうが本人たちもそれは自覚していて、色々なことに腐心した運営手際には感動したものだ。こうした世界はハーレーならではだろうし、乗り始めたくても友人にライダーがいないという方なら嬉しいと思う。(とはいえ古参ほどツアラーに乗っているので、タンク容量の少ないスポスタは肩身が狭くなることを覚悟しよう。)
 

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やはり大きくて重いバイクを、どでかいツインエンジンで突き動かし、悠々とクルーズするのがハーレーの世界。もう一度ハーレーを買うなら、自分も大きいやつにすると思う。
もしくは古いやつ。
 
・・・Buellも乗ってみたい。
 
※こういう好奇心が、フォーティエイトを手放した理由でもある。
 

Kawasaki W800

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高原に近い場所でバイクを借りれば夏のツーリングも快適なのではないだろうか、などと思い立って、宇都宮でW800を借りてみた。ところが新幹線を降りれば、東京と同じように暑い。奥日光へ辿り着けばきっと楽になるのだが、道はもう混みはじめている。レンタルバイクでのツーリングは、お店の開く時間に合わせてスタートが遅くなってしまうのが難点である。

 

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しかし美しいエンジンだ。借りて早々コンビニに停め、30分くらいコーヒーを飲みながら造形を眺めてしまう。「磨いているのも楽しみ」というのは、こういうバイクならわかる。白飯が食えるというのも、わかる。

 

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最初はもっさり感じて「こんなもんか」という印象だった。1時間経つ頃には、ハンドルからも伝わってくるパルスが次第に蓄積していって「うひー楽しい」という状態になっていた。流すだけではうまく走れない峠道になって、ちゃんと開けてみると印象はガラリと変わった。うーん、面白いなあ。

 

200キロ程走って返却。用途がハーレーとかぶるけれども、なんだかW800が欲しくなってしまった夏の一日だった。買い換えるか・・・。