finders keepers

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僕はこの脳で嘘をつく

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昨夜、夢を見た。

「台風が近づいていますが、特に予定変更の連絡をいただいていないので、東京に向かいます。」というメールを、迷惑フォルダに入っていたために見逃していた、という夢だ。

実にロマンの欠片もないシーンではないか。夢のなかでも「まずい、連絡しなくちゃ」とか「上京予定っていつだっけ」とか、思考がはたらいていたことを覚えている。朝になってから、念のためにメールを見直してみたら、やっぱりそんなメールは存在しなかった。脳の見せた妄想というわけだ。

分離能の研究で知られるガザニガによれば、脳にはインタープリターモジュールなる解釈装置があって、与えられた情報だけで辻褄を合わせようとするらしい。たしかに先週「迷惑フォルダに分類されていたメールを見落とす」という経験があったし「台風情報を見て通勤の影響を考えて」いたりしたけれど、これらを関連付けるようなストーリーを脳が作り上げてきたと思うと面白い話だ。しかし脚本家としてはセンスがなさすぎる。「仕事熱心なのはいいが、その情報は別々のものとしてファイリングしておきたまえ」と脳の評議会は結論づけた。

 

さて、ぼくらの脳はこのように仕事をしている。目覚めているときにも。

「あのときあの人がこう言った」という記憶が捏造されたものでないことを、確かめる方法はあるのだろうか。ひっきりなしの解釈によって生まれる妄想を、止める術はあるのだろうか。あるいはただ、脳のつくる連続ドラマを楽しんでいればいいのだろうか。