セローを選ぶときに悩むのは「実際オフロードに足を踏み入れるか」ということと「オンロードの走りがどうなのか」ということではないかと思う。今となっては、こういうことに悩むこと自体が実にセロー向きの思考だったといえる。本気でオフロードを駆け抜けるならセローは重いし、オンロードに割り切れるならモタードに色々と選択肢があるだろう。セローが欲しくなる時点で、その人にはセローが向いているのだ。林道を攻めなくても、セローだから安心して走れる場所が沢山ある。セローが与えてくれるものはすなわち「行けない場所を気にしない自由」なのである。
さて街乗りやオフロードはともかく、高速道路はどうなのだろうという不安があった。実際に乗ってみると・・・まあ正直得意ではない感じ。80km/hくらいで走っているのが穏やかで、100km/hぐらいまでがいいところだと思う。ワイズキアのミニスクリーンをつけると胸元への風圧が軽減されて、10〜15km/hくらいプラスでも大丈夫になる。手元の風を防ぐブラッシュカバーと共に、つけておいて良いオプションだ。で、調子が良ければ120km/hオーバーで走行したっていいのだけれど、エンジンの振動が激しくていずれ手がしびれてくることは間違いない。
しかし高速を使って少し都市を離れたら、あとはセローの時間だ。見たことのない場所へ足を踏み入れる楽しみを、存分に味わいたい。危険と紙一重に駆け抜けるフィールドを求めているわけではなく、あくまでジェントルに、トコトコと走るのがセローには向いている。峠道になると、実はかなり速いのだけどね。
