finders keepers

バイクが楽しい。写真が楽しい。釣りが楽しい。

trangia Mestin

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トランギアのメスティンとは、シンプルな作りのアルミの飯盒である。ちょっと小さめのお弁当箱というようなもので、折りたたみのできるハンドルがついている。アウトドア好きには定番商品だが、そうでない人は名前を聞いたところでピンとこないだろう。

これ以上ないほど簡素な製品であるので、値段も高くない。手にしてはじめて蓋をあけると、そのエッジの粗さに驚くはず。へんな触り方をすると手を傷つけてしまいそうな雑な仕上がりなので、まずはエッジを磨いて安全に扱えるようにすることからスタートする人もいる。焦げ付きにくくなるように、米のとぎ汁で煮沸してコーティングするやり方もあるらしい。自分はやっていないけれど、こういった行為ひとつひとつが道具への愛着を深める楽しい儀式でもある。

本分である炊飯は、コツをつかめば難しくはない。一合ほどの炊飯にちょうどよいので、一人暮らしの炊飯道具として積極的に利用できる。アウトドアでの煮炊きを考えると火力調整や時間計測は経験値を高めないので、家のガスコンロで炊くときの自分のやり方はその日次第だ。心配なら蓋を開けて状態を見ればいいし、香ばしい匂いを感じだしたらそろそろ止め時と思えばいい。少々焦がしてしまっても、道具が育っていくと考えると嬉しくなる。おかげでル・クルーゼの出番は著しく減ってしまった。

長く愛される製品である理由は、使い込むにつれて身にしみてわかる。サイズや形も抜群だ。ラーメンを茹でたっていいし、皿にしたっていいし、フライパンのように使ってもいい。同じトランギアのアルコールバーナーや、風防・カトラリー・ライターなどを詰め込んで、ミニマムなクッカーセットをまとめるのも楽しい。シンプルで機能的だからこそ使い手のアイデアを刺激し、それぞれにメスティンの使いこなし方がある。愛さずにはいられまい。